
こんにちは。出戻りランサーです。
今回は、PMOが育ちにくい理由について書いてみます。
PMOという仕事は、現場にいると確かに必要です。
むしろ、いないと困る場面もかなり多いです。
進捗を整える人がいる。
課題を見える化する人がいる。
会議を前に進める人がいる。
関係者の認識をそろえる人がいる。
こういう役割がないと、プロジェクトはじわじわ不安定になります。
でもその一方で、
PMOは育ちにくい仕事だな
ともずっと感じています。
現場にはいる。
必要性もある。
それなのに、なかなか育たない。
なぜそうなるのか。
今回は、現場で見てきた感覚ベースで、PMOが育ちにくい理由を整理してみます。
PMOは“仕事の中身”が見えにくい
まず大きいのはこれです。
PMOは、何をもってできていると言えるのかが見えにくい。
たとえばエンジニアなら、
作ったもの、直したもの、実装したものが比較的見えやすいです。
営業なら、数字で見えやすい。
事務なら、処理件数や正確さで見えやすい。
でもPMOは、やっていることがかなり曖昧に見えます。
- 進捗管理
- 課題管理
- 会議運営
- 資料作成
- 関係者調整
こう書けばそれっぽいのですが、実際にはその中身の差がかなり大きいです。
同じ「会議運営」でも、
- ただ日程を押さえるだけの人
- 論点を整理して議論を前に進める人
では、価値が全然違います。
でも表面上の平たく表現する言葉は同じです。
この“同じ言葉に見えて、中身の差が大きい”というのが、PMOを育てにくくしている気がします。
作業は教えやすいけれど、本質は教えにくい
PMOの仕事には、教えやすい部分もあります。
たとえば、
- 議事録の書き方
- 課題表の更新方法
- 進捗フォーマットの使い方
- 会議設定の流れ
- 報告資料の型
こういうものは比較的教えやすいです。
でも、PMOの本質ってそこだけではありません。
本当に大事なのは、
- どこに認識のズレがあるか気づくこと
- 曖昧な話を具体化すること
- 相手ごとに伝え方を変えること
- 面倒な確認を避けないこと
- 会議を“やっただけ”で終わらせないこと
みたいな部分だったりします。
つまり、
手順は教えられるけど、機能のさせ方は教えにくい
んですよね。
ここがPMO育成の難しさだと思います。
「できる人のやり方」が言語化されていない
現場でよくあるのがこれです。
できるPMOはいる。
でも、なぜその人ができるのか説明されない。
これは本当によくあります。
たとえば、
あるPMOがうまく場を整理している。
関係者の話をきれいに通している。
会議のあとも物事が前に進んでいる。
でも、それを周りが見ると
「あの人は調整がうまい」
「気が利く」
「センスがある」
で終わってしまうことが多い。
これでは育成につながりません。
本来なら、
- どこで違和感を拾っているのか
- なぜその聞き方をしているのか
- どうやって論点を整理しているのか
- なぜそこで一歩踏み込んだのか
みたいなことを言語化しないと、再現しにくい。
でもPMOの現場は、そこがかなり属人的です。
だから「見て学べ」になりやすいし、結果として育ちにくいんだと思います。
また、どう考えて結論や行動を導き出したか細かく解説もしたことがありますが、
正直なところ育ちやすさは受け手にも左右されると感じています。
PMOは“補佐役”として扱われやすい
これもかなり大きいです。
PMOはどうしても、
- 補佐
- サポート
- 支援
- 事務局
のように見られやすい仕事です。
もちろん、その側面はあります。
でも、その見られ方が強すぎると、育成も浅くなります。
なぜなら、
「とりあえず資料まとめておいて」
「会議回しておいて」
「進捗だけ集めておいて」
みたいな依頼のされ方になりやすいからです。
つまり、
本来はプロジェクトを前に進めるための役割なのに、作業の受け皿として使われやすい。
こうなると、本人も“作業をこなすPMO”になりやすいし、周りもそこ以上を求めなくなります。
結果として、育つ前に役割が固定されてしまうんですよね。
成果が見えにくく、評価もしづらい
PMOは成果の出し方が見えにくい仕事です。
たとえばエンジニアなら、
機能が動いた、障害を減らした、処理速度が改善した、のように比較的見えやすい。
でもPMOは、
- 認識のズレを減らした
- 会議の質を上げた
- 関係者の足並みをそろえた
- 課題の放置を防いだ
みたいな成果が多いです。
これ、すごく大事なんですが、数字で出しにくい。
しかも、うまく回っている時ほど目立たない。
だから評価も、
- 資料は早い
- ちゃんとやってくれる
- 真面目
みたいな無難な言葉で終わりやすいです。
本来評価されるべき“通し方”や“整え方”が見えにくい。
これも、PMOが育ちにくい理由の一つだと思います。
現場が忙しくて、育てる余裕がない
現実的にはこれも大きいです。
PMOが必要になるプロジェクトって、
そもそも忙しいことが多いんですよね。
- 人が足りない
- スケジュールがきつい
- 調整先が多い
- 問題がすでに起きている
こういう環境だと、どうしても
「育てる」より
「今すぐ回す」
が優先されます。
すると新人PMOには、
- とりあえずこれ更新して
- 議事録取って
- 日程調整して
- これまとめて
という作業がどんどん降ってきます。
もちろん、それ自体は必要です。
でも、その作業が“なぜ必要なのか”“その先で何を見ているのか”まで教えられないと、ただの作業経験で終わってしまいます。
現場が忙しいほど、この悪循環が起きやすいです。
コミュニケーション能力はOJTだけでは育ちにくい
以前の記事でも書いた通り、PMOに必要な力の大部分は、管理能力というよりコミュニケーション能力だと自分は思っています。
ただ、このコミュニケーション能力がやっかいです。
なぜなら、OJTだけで自然に育つとは限らないからです。
現場に出ていれば人と話します。
会議にも出ます。
調整もします。
でも、それだけで育つわけではありません。
- なぜこの言い方がうまくいったのか
- どこで話がずれたのか
- どう聞けば相手の本音が出るのか
- どこまで踏み込むべきか
こういうことを振り返らないと、経験がただ積み上がるだけになりやすい。
つまり、
経験は積めるけど、成長に変換されにくい
のがPMOの難しさです。
PMOの育成には“見る視点”を教える必要がある
個人的には、PMOを育てるには、作業を教えるだけでは足りないと思っています。
必要なのは、
何を見る仕事なのか
を教えることです。
たとえば、
- 誰の認識がずれていそうか
- この会議で本当に決めるべきことは何か
- この課題は誰が持つべきか
- どこが曖昧なまま流れそうか
- 今、確認しないと後で詰まりそうなのはどこか
こういう“見る視点”です。
この視点がないと、PMOはどうしても「言われたことを処理する人」で止まりやすい。
逆にこの視点がある人は、まだ経験が浅くても伸びやすいです。
企業にとっても、実はかなり大きな育成課題だと思う
PMOが育ちにくいのは、個人の問題だけではないと思っています。
企業側から見ても、これはかなり大きな課題です。
なぜなら、PMO的な役割ができる人がいないと、
- 会議は増えるのに決まらない
- 課題はあるのに動かない
- 進捗管理しているのに遅れる
- 関係者が多いほど混乱する
みたいなことが起きやすいからです。
でも、その役割を担う人をどう育てるかとなると、急に難しくなる。
管理ツールの研修はできます。
資料テンプレートの共有もできます。
でも、現場で本当に必要な“通す力”や“整える力”は教えにくい。
だから多くの現場で、
「できる人に依存する」
状態になりやすいんだと思います。
自分が思う、PMOが育ちにくい一番の理由
いろいろ書いてきましたが、自分が一番大きいと思っているのは、
PMOの価値が“作業”で見られやすく、“機能”で見られにくいこと
です。
本来は、
- 認識をそろえる
- 話を通す
- 曖昧さを減らす
- 前に進める
という機能が重要なのに、
見えやすいのはどうしても
- 議事録
- 進捗表
- 課題一覧
- 資料
になってしまう。
このズレがある限り、PMOは育ちにくいし、育成も表面的になりやすい気がしています。
また、企業の評価制度が成果評価の場合、
成果が見えづらいPMOという立場では、社内の評価を得ることも難しいと感じています。
最後に
PMOは必要な仕事です。
特に大きなプロジェクトであればあるほどその重要性は高まります。
でも、必要だからといって自然に育つわけではありません。
むしろ、
- 仕事の中身が見えにくい
- 本質が言語化されにくい
- 作業だけ覚えて終わりやすい
- 評価もしづらい
- 現場に育成余力がない
こういう理由で、かなり育ちにくい仕事だと思います。
だからこそ、PMOについては
「何をやるか」だけでなく、
「何を見て、どう機能するのか」
を言葉にしていくことが大事なんだと思います。

