
こんにちは。出戻りランサーです。
今回は、PMOに必要なのは管理能力よりコミュニケーション能力だと思う理由について書いてみます。
PMOという仕事を説明するとき、よく出てくる言葉があります。
- 進捗管理
- 課題管理
- 会議運営
- 資料作成
- 関係者調整
どれも間違っていません。
実際、PMOはそういう仕事をたくさんやります。
でも、現場で長く見てきた感覚で言うと、PMOに本当に必要なのは、管理能力そのものより、
コミュニケーション能力の方だと思っています。
ここでいうコミュニケーション能力は、単に話し上手とか、人当たりがいいとか、そういう意味ではありません。
- 相手の立場を踏まえて話を整理する力
- 認識のズレを見つける力
- 曖昧な状況を言語化する力
- 言いにくいことを、関係を壊さずに伝える力
- 会議を“やっただけ”で終わらせず、次の行動につなげる力
こういうものです。
今回は、なぜ自分がPMOに必要なのは管理能力よりコミュニケーション能力だと思っているのかを、現場感覚ベースで書いてみます。
PMOは“管理する仕事”だと思われやすい
PMOという仕事は、外から見るとどうしても「管理の仕事」に見えます。
たしかに、管理はします。
- 進捗を管理する
- 課題を管理する
- リスクを管理する
- 会議体を管理する
- 報告を管理する
実際、管理という言葉を使えば、それっぽく説明しやすいです。
でも、現場で起きている問題って、管理表だけで解決することはほとんどありません。
進捗表に遅れが書いてある。
課題一覧に未対応が並んでいる。
議事録も残っている。
それでも前に進まないことは普通にあります。
なぜかと言えば、問題の本質が
管理不足ではなく、
人と人の認識のズレ
にあることが多いからです。
プロジェクトは、管理表より“認識のズレ”で止まる
プロジェクトが止まる原因を考えると、
実は「管理表がないから止まる」ことはそこまで多くありません。
多いのは、
- そもそも誰がやるのか曖昧
- 何が決まっていて何が未決か認識が違う
- 開発側と業務側で前提がズレている
- ベンダーとユーザー部門で優先順位が違う
- 会議で話したつもりでも、解釈がバラバラ
こういうことです。
つまり、プロジェクトは“管理不足”より、
認識のズレを放置したまま進めることで止まりやすい。
ここで必要なのは、単に管理表を更新する力ではありません。
ズレを見つけて、言葉にして、関係者の間に話を通す力です。
これが、自分がPMOにコミュニケーション能力が必要だと思う一番大きな理由です。
進捗管理も、結局はコミュニケーションで決まる
進捗管理というと、Excelや管理ツールをイメージする人が多いと思います。
もちろん、それも必要です。
でも実際の進捗管理は、表を更新することでは終わりません。
本当に大事なのは、
- その遅れはどこまで深刻なのか
- 何が原因なのか
- 誰が困っているのか
- どこに波及するのか
- 今、誰に話を通すべきなのか
を把握することです。
そして、それを関係者に伝わる形で出すことです。
遅延そのものより怖いのは、
遅延が共有されないこと
だったりします。
ここで必要なのは、
「進捗表を埋める力」より
「話を引き出して整理する力」
です。
つまり進捗管理すら、かなりコミュニケーション寄りの仕事なんです。
課題管理は、“追う力”より“通す力”が大事
課題管理も同じです。
課題を一覧にするだけなら、そこまで難しくありません。
でも現場で本当に難しいのは、
その課題を“動く課題”にすることです。
たとえば、
- 誰が責任を持つのか
- いつまでに答えを出すのか
- その課題は何を止めているのか
- 誰にエスカレーションするのか
ここが曖昧だと、課題は一覧表の中で眠ります。
課題管理がうまいPMOは、
管理表がきれいな人ではなく、
課題をちゃんと関係者の間に通せる人
です。
これも、ただの管理能力では足りません。
必要なのは、
相手に応じて伝え方を変える力、
逃げられそうな論点をつかまえる力、
空気を壊さずに前へ出す力です。
かなりコミュニケーションの仕事です。
会議運営の本質は“場回し”ではなく“意味を揃えること”
PMOの仕事として会議運営があります。
これも外から見ると、スケジュール調整や議事録作成の仕事に見えやすいです。
でも本当に大事なのはそこではありません。
会議の本質は、
関係者の意味を揃えること
だと思っています。
同じ言葉を使っていても、
人によってイメージしているものが違うことはよくあります。
- 「対応する」
- 「確認する」
- 「一旦持ち帰る」
- 「影響は軽微」
- 「来週までに」
こういう言葉は、現場ではかなり危ないです。
PMOが会議でやるべきなのは、
曖昧な言葉をそのまま流さないこと。
誰が、何を、いつまでに、どうするのかを揃えることです。
これは司会進行というより、
言葉の交通整理です。
この役割も、かなり高度なコミュニケーション能力が必要です。
PMOのコミュニケーション能力は“感じの良さ”ではない
ここは誤解されやすいところです。
コミュニケーション能力というと、
愛想がいいとか、話しやすいとか、場を和ませるとか、そういう印象を持たれやすいです。
もちろん、それも悪くありません。
でもPMOで本当に必要なのは、もっと実務的なものです。
たとえば、
- 相手の立場に合わせて説明できる
- 論点を整理して返せる
- 曖昧さをそのままにしない
- 面倒なことを確認できる
- 言いづらいことを、壊れない言い方で出せる
- 話がずれた時に戻せる
こういう力です。
つまりPMOに必要なのは、
人当たりの良さより
実務を前に進めるための対話力
だと思っています。
管理能力だけでは、現場は動かない
ここまで書いてきた通り、管理能力そのものを否定したいわけではありません。
管理能力は必要です。
整理も必要です。
数字や期限の感覚も大事です。
ただ、それだけでは現場は動きません。
なぜなら、管理の対象はいつも人だからです。
どれだけ管理表がきれいでも、
人が納得していない。
優先順位が揃っていない。
責任の所在が曖昧。
こういう状態では進みません。
だからPMOは、
管理をする人である前に、
人の間を橋渡しできる人
であるべきだと思っています。
この順番を間違えると、
“管理のための管理”になりやすいです。
それでもコミュニケーション能力は育てにくい
そして、ここが厄介なところです。
PMOに必要なコミュニケーション能力は、現場にいれば自然に身につくかというと、そうでもありません。
なぜなら、この能力は
- 明文化されにくい
- 教えにくい
- 評価されにくい
- センスで片付けられやすい
からです。
進捗表の作り方は教えられます。
課題一覧の更新方法も教えられます。
でも、
- どう聞けば本音が出るか
- どう言えば相手が動くか
- どこで踏み込むべきか
- どこは待つべきか
こういうことは、かなり言語化しにくい。
だから現場でも、
「できるPMOはできるけど、なぜできるのか説明されない」
状態になりやすいんだと思います。
企業にとっても、実は育成課題があると思う
ここは個人的にかなり大きい論点だと思っています。
PMOに必要なのがコミュニケーション能力だとすると、
企業にとっても、そこはかなり育成しづらい領域です。
なぜなら、
管理ツールや進め方の研修はできても、
実務の中で必要な対話力や調整力は、体系的に教えにくいからです。
結果として、
- PMOを名乗っていても、実質は管理表担当で止まる人
- 現場に入っても、調整ができずに埋もれる人
- 逆に、属人的にうまくやっている人だけが回している現場
こういうことが起きやすい。
だからこそ、PMOのコミュニケーション能力を言語化していくことには、個人にも企業にも意味があると思っています。
自分が思う、PMOで本当に評価される人
結局、PMOで本当に評価される人って、
管理表がきれいな人だけではないです。
もちろん、それも大事です。
でも、現場で本当に頼られるのは、
- 認識のズレに気づける人
- 必要な相手に必要な話を通せる人
- 会議をやっただけで終わらせない人
- 面倒なことを丁寧に確認できる人
- 曖昧な状況を整理して見える化できる人
こういう人だと思っています。
つまり、
“整える力”の中身は、かなりコミュニケーションに依存している
ということです。
最後に
PMOに必要なのは何か。
そう聞かれたとき、自分は管理能力より先に、コミュニケーション能力を挙げたいです。
ただし、それは
「話すのが得意」
という意味ではありません。
- ズレを見つける
- 曖昧さを言葉にする
- 相手ごとに伝え方を変える
- 関係を壊さずに必要なことを通す
そういう、実務を前に進めるためのコミュニケーションです。
PMOは、管理の仕事に見えて、実はかなり“話を通す仕事”だと思っています。
コミュニケーション能力は、私が社会人に出た時から重要だと叫ばれていました。
30年近く経とうとしている今もなお必要だと叫ばれるのは、
やはり育成しづらい部分でもあることの何よりの証拠でしょう。