実務・PMO

「努力が足りない」で片づけることへの違和感。大事なのは努力の方向性

この記事の要点

  • 「努力が足りない」は便利すぎる言葉:成果が出ない理由を、本人の根性や姿勢だけで片づけてしまうと、本当の原因が見えにくい。
  • 努力していても、方向性がズレていることがある:本人なりに頑張っていても、目的や成果につながらない方向に力を使っていると評価されにくい。
  • 大事なのは努力の量より、努力の向き:もっと頑張る前に、何を改善すべきか、どこに力を使うべきかを見直すことが大切。
  • 指導する側も方向性を示す必要がある:「もっと頑張れ」だけではなく、何がズレているのか、どう直せば成果につながるのかを整理して伝えることが重要。

仕事をしていると、うまくいかない人に対して「努力が足りない」と言っている場面があります。

もちろん、努力が必要ないわけではなく、

新しい仕事を覚えるとき。
苦手なことに向き合うとき。
経験不足を埋めるとき。
一定期間、踏ん張らないといけないとき。

そういう場面では、努力すること自体は必要です。

ただ、何かがうまくいっていない人に対して、すぐに「努力が足りない」と言ってしまうことには少し違和感があります。

なぜなら、本当に問題なのは努力の量ではなく、努力の方向性にあることも多いからです。

もちろん、それらを含めて「努力が足りない」と言うこともあると思いますが、
努力の「量」を満たしていることに満足している人では、「方向性」に気付けませんし、
方向性を意図した発言であれば、言われた側が憤るだけに終わってしまうでしょう。

努力していないのではなく、ズレた努力をしている場合がある

仕事がうまくいかない人を見ていると、必ずしも何もしていないわけではありません。

本人なりに頑張っている。
時間もかけている。
真面目に取り組んでいる。
悩んでもいる。

それでも成果につながらないことがあります。

この場合、単純に「もっと頑張れ」と言っても、あまり意味がありません。

たとえば、資料作成が苦手な人が、ひたすら見た目だけを整えている。
報告が苦手な人が、細かい情報を全部詰め込もうとしている。
課題管理が苦手な人が、一覧をきれいにすることだけに時間を使っている。
コミュニケーションが苦手な人が、とにかく話す回数だけを増やそうとしている。

本人は努力しているのかもしれません。

でも、向いている方向がズレていると、努力しても成果につながりにくい。

そこで必要なのは「努力が足りない」という指摘ではなく、「どこに力を使うべきか」を一緒に整理することだと思います。

「段取り八分、仕事二分」という言葉もあるように、正しい計画を立てる(方向性を定める)ことが重要です。

「努力不足」は便利な言葉すぎる

「努力が足りない」という言葉は、言う側にとっては便利です。

相手が成果を出せていない理由を、本人の姿勢や根性の問題にできます。

もっと頑張ればいい。
やる気が足りない。
本気度が足りない。

そう言えば、問題をシンプルに片づけられます。

でも実際には、成果が出ない理由はもっと複雑です。

やり方が分かっていないのかもしれない。
目的を理解できていないのかもしれない。
必要な情報が足りないのかもしれない。
求められている品質の基準が見えていないのかもしれない。
そもそも環境や役割設定が合っていないのかもしれない。

そうした前提を見ないまま「努力不足」で片づけてしまうと、本当の原因が見えなくなります。
もちろん、やる気など本人自体が問題を抱えている場合もあるので原因の見極めが必要です。

努力の前に、方向性を確認した方がいい

努力すること自体は大事です。

ただし、その前に確認した方がいいことがあります。

何を達成したいのか。
どこが今うまくいっていないのか。
どの部分を改善すれば成果につながるのか。
今やっている努力は、本当に目的に向かっているのか。
周囲から見て、ズレた努力になっていないか。

ここを確認しないまま頑張ると、努力しているのに報われない状態になります。

本人としては一生懸命やっている。
でも、周囲からは成果が出ていないように見える。
結果として「努力が足りない」と言われる。

これはかなりしんどい状態だと思います。

だからこそ、努力の量を増やす前に、努力の向き先をチェックすることが大事です。

指導する側にも、方向性を見る責任がある

仕事を教える側やフォローする側にも、考えるべきことがあります。

相手が成果を出せていないときに、すぐ「もっと頑張って」と言うのではなく、何がズレているのかを見る必要があります。

理解が浅いのか。
手順が分かっていないのか。
優先順位を間違えているのか。
確認するタイミングが遅いのか。
自分で判断すべきところと相談すべきところの区別がついていないのか。

ここを曖昧なまま努力論だけで押すと、相手は同じ場所で空回りし続けます。

もちろん、本人に主体性が必要なのは言うまでもありません。

ただ、指導する側が方向性を示さずに「努力が足りない」とだけ言うのは、少し雑だと思います。

努力は、正しい方向に向けてこそ意味がある

努力は否定しません。

むしろ、仕事で成長するには努力は必要です。

ただ、努力は量だけではなく、方向性も大事です。

目的に合っていない努力。
成果につながらない努力。
自己満足で終わる努力。
周囲の期待とズレた努力。

こうした努力をどれだけ続けても、評価にはつながりにくいです。

努力しているのに成果が出ないときは、「もっと努力する」だけではなく、「努力の方向が合っているか」を見直した方がいい。

それは本人にとっても、周囲にとっても大事な視点だと思います。

個人的には、方向性を誤る経験をしておくことは大事だとも思います、
例えば、誰かを指導する時に成功体験しか語れないよりは失敗談からくる教訓は生きたアドバイスに繋がります。

ただ、それを繰り返さないこと、繰り返させないことが重要だと思います。

PMOの仕事にも通じる話

この話は、PMOの仕事にも通じるところがあります。

PMOは、単に頑張っている人を評価するだけではなく、プロジェクト全体が正しい方向に進んでいるかを見る役割でもあります。

会議をたくさん開いている。
資料をたくさん作っている。
報告を細かく出している。
課題一覧をきれいに整えている。

それ自体は悪いことではありません。

でも、それがプロジェクトを前に進めることにつながっているかは別です。

頑張っているように見えても、論点がズレていれば手戻りになります。
作業量が多くても、目的に合っていなければ成果にはなりません。

だからこそ、PMOには「努力しているか」だけでなく、「その努力が目的に向かっているか」を見る視点が必要だと思います。

「努力が足りない」の前に考えたいこと

人に対して「努力が足りない」と言うのは簡単です。

でも、その前に考えたいことがあります。

その人は本当に努力していないのか。
努力の方向がズレているだけではないか。
やり方を理解できているのか。
目的や期待値は伝わっているのか。
本人が改善できる形でフィードバックできているのか。

そこを見ずに努力不足で片づけると、問題の本質を見落とします。

努力は大事です。

ただし、努力の量だけでなく、方向性を見直すことも同じくらい大事です。

頑張っているのに成果が出ないときほど、必要なのは根性論ではなく、方向性の確認なのだと思います。

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