
最近、仕事をしていて感じることがあります。
「多様性」
「ワークライフバランス」
「心理的安全性」
「働きやすさ」
こうした言葉を聞く機会が増えました。
もちろん、これらの考え方自体を否定するものではありません。
昔のように、長時間労働が当たり前。
怒鳴られて覚える。
理不尽に耐えるのが社会人。
プライベートを犠牲にして仕事をする。
そういう働き方が良いとは思いません。
人によって事情は違います。
家庭の事情もあります。
体調の問題もあります。
価値観も違います。
仕事だけが人生ではありません。
だから、多様性やワークライフバランスが大事だという考え方には賛成です。
ただ一方で、最近はその言葉に少し惑わされている場面もあるのではないかと感じることがあります。
働きやすさを重視するあまり、仕事に必要な厳しさまで避けていないか。
多様性を尊重するあまり、最低限求められる仕事の基準まで曖昧になっていないか。
ワークライフバランスを大事にするあまり、成長の機会まで失われていないか。
そんなことを考える機会が増えました。
過度な配慮が足枷になってしまうこともあるのではないか、そのように感じています。
厳しい環境は確かに減った
昔に比べると、仕事で厳しいシーンに遭遇する機会は減ったように感じます。
強く叱られる。
詰められる。
納期に追われる。
厳しいレビューを受ける。
できていないことをはっきり指摘される。
スピード感を求められる。
こうした場面は、以前より少なくなっている印象があります。
もちろん、これは良い面もあります。
理不尽な叱責が減る。
精神的に追い詰められにくくなる。
ハラスメントが問題視される。
無茶な働き方が見直される。
人を壊すような職場が減る。
これは大事な変化です。
ただ、厳しい環境が完全になくなったわけではありません。
むしろ、あるところには今でもあります。
スピード感や納期が最重要視される現場はある。
成果に対する目線が高い現場は、成果物への評価が厳しい。
ビジネスへの影響が大きいポジションでは、道を外さず伴走できる総合力が期待される。
これらのことは、比較的上流工程のポジションやPM層に求められます。
つまり、全体的に厳しさが薄まったというより、立場によって二極化しているように感じます。
厳しい環境を経験してきた人は、力を発揮しやすい
厳しい環境を経験してきた人は、今の現場で力を発揮しやすい場面があります。
納期感がある。
報告・相談のタイミングが分かる。
相手の期待値を読める。
仕事の優先順位をつけられる。
厳しい指摘を受けても、必要な改善として受け止められる。
多少のプレッシャーがあっても、踏ん張れる。
こうした力は、厳しい環境の中で身につくことがあります。
もちろん、厳しければ何でも良いわけではありません。
人格否定。
怒鳴るだけ。
長時間労働の強要。
説明のない詰め。
理不尽な要求。
こういうものは、成長には繋がらず消耗する一方です。
(もちろんこういった環境でも成長できる気骨のある人も居ますが・・・)
ただ、仕事の品質や納期、責任感に対する厳しさは、一定程度必要だと思っています。
厳しい環境を経験してきた人は、その基準が体に染みついていることが多いです。
だから、現場に入ったときに、自然と動ける。
納期が近いなら先に確認する。
曖昧なことは早めに潰す。
相手に伝わるように整理する。
指摘されたら次に直す。
自分の仕事が周囲にどう影響するかを考える。
こうした動きができる人は、現場で強いです。
一方で、成長機会を失っている人もいるのではないか
最近、PMOの現場で仕事をしていると、少し気になる場面があります。
納期感が弱い。
スピード感がない。
報告や相談が遅い。
コミュニケーションが噛み合わない。
指摘を受けても改善につながらない。
自分の作業が周囲にどう影響するかを考えられていない。
もちろん、個人差はあります。
年齢や経験年数だけで一括りにするつもりはありません。
ただ、25年働いてきた身としては、仕事に必要な厳しさを経験する機会が減っている人もいるのではないかと感じます。
厳しいレビューを受けたことがない。
納期に対する強いプレッシャーを経験していない。
自分のアウトプットに対して、はっきり指摘された経験が少ない。
仕事の遅れが誰かに迷惑をかける感覚が薄い。
周囲から求められる期待値を掴む機会が少ない。
そうなると、本人に悪気がなくても、現場でズレが出ます。
「そんなに急ぐ必要がありますか」
「とりあえずやっています」
「確認中です」
「あとでやります」
「分からなかったので止まっていました」
こうした言葉が出ることがあります。
本人としては普通に働いているつもりかもしれません。
でも、PMOの現場では、納期、進捗、課題、関係者調整、報告タイミングが重要です。
そこが噛み合わないと、プロジェクト全体に影響します。
多様性は、仕事の基準を下げることではない
多様性は大事です。
人それぞれ違う。
働き方も違う。
価値観も違う。
得意不得意も違う。
これはその通りです。
ただ、多様性は、仕事の基準(質)を下げることではないと思っています。
納期を守る。
必要な報告をする。
分からないことを確認する。
相手に伝わるように話す。
自分の担当範囲を責任を持って進める。
ミスをしたら改善する。
これらは、多様性とは別の話です。
人によって働き方は違ってよい。
でも、仕事として求められる最低限の基準はあります。
多様性を尊重することと、仕事の品質や責任を曖昧にすることは違います。
ここを混同すると、現場が苦しくなります。
ワークライフバランスも、責任を手放すことではない
ワークライフバランスも大事です。
仕事だけに人生を捧げる必要はありません。
無理な残業を続ける必要もありません。
プライベートや家庭、自分の時間を大切にすることも必要です。
ただ、ワークライフバランスは、仕事の責任を手放すことではないと思っています。
決められた時間の中で、どう成果を出すか。
限られた時間で、どう優先順位をつけるか。
休むなら、事前にどう引き継ぐか。
対応できないなら、早めにどう伝えるか。
納期に間に合わないなら、いつ相談するか。
これも含めて仕事です。
早く帰ることが悪いわけではありません。
休むことが悪いわけでもありません。
ただ、その結果として周囲が困るなら、調整が必要です。
ワークライフバランスは、仕事を適当にしてよい理由ではありません。
むしろ、限られた時間の中で成果を出すために、仕事の進め方やコミュニケーションの質が問われる考え方だと思います。
多様性も、ワークライフバランスが言葉だけ先行してしまうと、無責任が蔓延る土壌になります。
厳しさと理不尽さは分けて考えたい
ここで大事なのは、厳しさと理不尽さを分けることです。
厳しい指摘。
高い期待値。
納期へのプレッシャー。
品質への要求。
スピード感。
改善を求められること。
これらは、仕事をするうえで必要な場面があります。
一方で、
人格否定。
怒鳴る。
見せしめにする。
長時間労働を強要する。
説明なく詰める。
根性論だけで押し切る。
これは理不尽です。
昔の厳しさには、この理不尽さが混ざっていたことも多かったと思います。
だから、現代でそれが見直されるのは当然です。
ただ、理不尽をなくすことと、必要な厳しさまでなくすことは違います。
ここを一緒にしてしまうと、現場からフィードバックや成長機会が消えてしまいます。
「厳しく言うとハラスメントになる」
「指摘すると嫌がられる」
「本人の多様性だから仕方ない」
「ワークライフバランスを尊重しないといけない」
こうして、必要な指摘まで避けられるようになると、本人も成長しにくくなります。
PMOの現場では、曖昧さがそのまま問題になる
PMOの仕事をしていると、曖昧さがそのまま問題になります。
誰がやるのか分からない。
いつまでにやるのか分からない。
どこまで終わっているのか分からない。
何が課題なのか分からない。
誰に確認すべきか分からない。
決まったのか、決まっていないのか分からない。
こうした曖昧さを整理するのが、PMOの仕事の一つです。
だからこそ、納期感やコミュニケーションがままならない人と接すると、現場の難しさを強く感じます。
本人に悪気がなくても、仕事が前に進まない。
確認が遅れて、全体の判断が遅れる。
報告が曖昧で、状況が見えない。
スピード感が合わず、周囲がフォローに回る。
こうなると、チーム全体に負担がかかります。
PMOの現場では、個人の働きやすさだけでなく、プロジェクト全体が前に進むかどうかも重要です。
そのバランスを取るのが難しくなっているように感じます。
成長には、少ししんどい経験も必要だと思う
成長には、ある程度しんどい経験も必要だと思っています。
できないことを指摘される。
自分の甘さに気づく。
納期に追われる。
期待値に届かない。
改善を求められる。
自分の仕事の雑さを突きつけられる。
こういう経験は、楽しくありません。
ただ、そこで初めて気づくこともあります。
自分は報告が遅い。
相手に伝わる説明ができていない。
優先順位を考えられていない。
仕事の見積もりが甘い。
確認すべきことを確認していない。
自分の作業が周囲に影響する意識が足りない。
こうした気づきが、次の成長につながります。
楽な環境だけでは、気づけないこともあります。
目先の楽さだけを選び続けることは、短期的には心地よいかもしれません。
ただ、長期的に見れば、自分の将来に影を落とすこともあるのではないかと思います。
厳しい指摘を受けない。
納期に追われる経験がない。
自分の甘さに気づく機会がない。
その場では楽でも、数年後に「仕事の基準が身についていない」という形で返ってくることがあるのではないでしょうか。
もちろん、人格を否定するような厳しさは不要です。
でも、少し背伸びしないといけない環境や、きちんと指摘される環境は、成長には必要だと思います。
働きやすさと成長機会は、両立できるはず
働きやすい職場が悪いわけではありません。
むしろ、働きやすさは大事です。
ただ、働きやすさと成長機会は、対立するものではないと思います。
安心して働ける。
でも、必要な指摘はある。
理不尽に詰められることはない。
でも、仕事の基準(質)は下げない。
休みやすい。
でも、引き継ぎや報告はきちんとする。
多様性は尊重する。
でも、仕事上の責任は曖昧にしない。
本来は、このバランスが必要なのだと思います。
厳しすぎる職場は人を壊します。
でも、緩すぎる職場は人を育てないことがあるとも思っています。
どちらか一方ではなく、働きやすさと成長機会の両方が必要ではないでしょうか。
まとめ
多様性やワークライフバランスという言葉は大事です。
昔のような理不尽な働き方に戻る必要はありません。
長時間労働やハラスメントを美化するつもりもありません。
人それぞれの事情や価値観を尊重することも必要です。
ただ、その言葉に惑わされて、仕事に必要な厳しさや成長機会まで失われていないかは考えたいです。
多様性は、仕事の基準を下げることではありません。
ワークライフバランスは、責任を手放すことではありません。
心理的安全性は、指摘をしないことではありません。
厳しさと理不尽さは違います。
理不尽はなくすべきです。
でも、仕事の品質、納期、スピード感、コミュニケーションに対する必要な厳しさは、残しておくべきだと思います。
PMOの現場で、納期感やスピード感、コミュニケーションがままならない人と接する中で、そんなことを感じるようになりました。
働きやすさは大事です。
でも、働きやすさだけでは、人は成長しないこともあります。
少ししんどい経験や、必要な指摘を受ける機会も、仕事人としての成長には必要なのだと思います。

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