
PMやPMOとして転職を考えるとき、職務経歴書に何を書くべきか迷うことがあります。
しかし、やってきたことを単純に記載するのでは、他の応募者との差別化が図れません。
なぜなら、見る側が知りたいのは「何の作業をしたか」だけではなく、どんな状況を、どう整理し、どう前に進めたのかだからです。
特に40代以降のPM・PMO経験者であれば、単なる担当作業よりも、成果・判断・再現性をどう見せるかが大事になります。
単純に全ての経歴を具体的に書けばよいということではなく、1つの経歴で1~2行で表せるのが良いでしょう。
相手に「もう少し深掘って聞いてみたい」と思わせるぐらいの文量がベストだと思っています。
PMの職務経歴書で作業一覧だけを書くと弱い
PMの職務経歴書でありがちなのが、担当業務を並べるだけの書き方です。
たとえば、以下のような内容です。
- 進捗管理
- 課題管理
- 会議運営
- ベンダー調整
- 顧客折衝
- メンバー管理
- 報告資料作成
これ自体は、PMとして必要な業務です。
ただ、これだけでは「PMっぽい仕事をしていた」ことは分かっても、どの程度の経験値なのかが伝わりにくいです。
見る側からすると、次のような疑問が残ります。
- どれくらいの規模のプロジェクトだったのか
- どんな難しさがあったのか
- どの立場で関わったのか
- 自分で判断して動いたのか
- 結果として何を改善したのか
- 別の現場でも再現できるのか
つまり、作業名だけでは、PMとしての価値が見えにくいのです。
自分の経験としては、規模や立場、プロジェクトにどういう関わり方をしたか。
その結果、何が得られたかを確認されることが多かったように記憶しています。
職務経歴書で見られるのは「何を前に進めたか」
PMの職務経歴書で大事なのは、担当作業の羅列ではなく、プロジェクトをどう前に進めたかです。
たとえば、同じ「課題管理」でも、書き方によって印象はかなり変わります。
悪い例です。
課題管理表を作成し、課題の進捗確認を実施。
これでも内容は伝わります。
ただ、少し作業寄りです。
良い例にすると、こうなります。
課題の優先度や担当者が曖昧になっていたため、課題管理表を再設計。論点、担当、期限、判断待ち事項を明確化し、週次会議で未決事項を継続的に確認することで、課題の滞留を減らした。
さらに短くするなら
課題の優先度や担当者が曖昧なため、課題管理表と課題運用を再設計し課題の滞留を減らした。
この書き方だと、単に課題管理表を作っただけではなく、何に困っていて、何を変えたのかが伝わります。
PM経験を職務経歴書で見せるときは、作業名ではなく、課題・対応・成果の流れで書くと伝わりやすくなります。
また、文章をどこまで短くするかは好みが分かれそうではありますが、
複数の経歴を書き並べる場合は、短く要点を抑えられるかもPMの素養を見る上では指標になると思います。
あくまでも、職務経歴書を見る人(採用側)を意識した書き方であるべきでしょう。
PM職務経歴書で書きたい基本項目
PMの職務経歴書では、最低限以下の情報を整理しておきたいです。
- プロジェクト概要
- 期間
- 業界・業務領域
- システムやサービスの内容
- 体制・人数
- 自分の役割
- 担当範囲
- 主な課題
- 実施したこと
- 成果・改善点
- 工夫した点
特に大事なのは、自分の役割と成果をあいまいにしないことです。
「プロジェクトに参画」だけでは弱いです。
PMとして意思決定したのか。
PMOとして管理を支援したのか。
顧客折衝を担当したのか。
ベンダーコントロールを行ったのか。
進捗や課題を整理して報告したのか。
ここを明確にした方が、見る側も判断しやすくなります。
PM職務経歴書の記載サンプル
以下は、PM経験を職務経歴書に書く場合のサンプルです。
プロジェクト概要
基幹システム刷新プロジェクトに参画。老朽化した既存システムを刷新し、業務部門の運用改善とデータ管理の効率化を目的としたプロジェクト。
期間は約18か月。業務部門、情報システム部門、外部ベンダー2社が関わる中規模プロジェクト。
体制・規模
- PM:1名
- PL:3名
- 開発メンバー:15名
- 業務部門担当者:10名
- 外部ベンダー:2社
- 利用部門:約300名
担当役割
プロジェクトマネージャーとして、全体進捗管理、課題管理、会議運営、関係者調整、ベンダーコントロール、経営層向け報告資料作成を担当。
主な課題
要件変更が多く、業務部門と開発側の認識ズレが頻発していた。
また、課題の優先順位が曖昧で、会議のたびに同じ論点が繰り返される状態になっていた。判断待ち事項も多く、プロジェクト全体の進行に遅れが出ていた。
実施したこと
課題管理表を再設計し、論点、担当者、期限、判断待ち事項、次回アクションを明確化。
週次会議では、決定事項と未決事項を切り分け、関係者間の認識合わせを実施した。
また、業務部門と開発側の間で認識がズレやすい論点については、図や一覧表を使って整理し、判断材料を可視化した。
成果
未決課題の滞留期間を短縮し、要件変更に伴う手戻りを削減。
遅延していた工程を再計画し、関係者間の合意形成を進めながら、本番リリースまで推進した。
職務経歴書向けの記載例
基幹システム刷新プロジェクトにPMとして参画。業務部門、情報システム部門、外部ベンダー2社が関わる中規模プロジェクトにおいて、全体進捗管理、課題管理、会議運営、関係者調整を担当。
要件変更が多く、業務部門と開発側の認識ズレが頻発していたため、課題管理表を再設計し、論点・担当・期限・判断待ち事項を明確化。週次会議では決定事項と未決事項を切り分け、関係者間の認識合わせを徹底した。
その結果、未決課題の滞留を減らし、遅延していた工程を再計画。本番リリースまでプロジェクトを推進した。
悪い例と良い例
PMの職務経歴書では、同じ経験でも書き方で印象が変わります。
悪い例
プロジェクトマネージャーとして、進捗管理、課題管理、会議運営、ベンダー調整を担当。
これだと、担当していた作業は分かります。
ただし、どんなプロジェクトで、何を改善したのかが分かりません。
良い例
要件変更が多く、進捗遅延が発生していたプロジェクトにおいて、課題管理と会議体を再整理。未決事項・判断待ち事項・担当者を明確化し、関係者間の認識ズレを減らしながらリリースまで推進。
こちらの方が、PMとしての動きが伝わります。
大事なのは、何を担当したかではなく、どんな状況をどう動かしたかです。
40代PMは「再現性」を見せたい
40代のPM・PMO経験者になると、経験年数だけでは評価されにくくなります。
「長くやってきました」だけでは、他の候補者と比較しても勝てません。
見る側が知りたいのは、別の現場でも同じように価値を出せるかです。
つまり、再現性です。
たとえば、以下のような経験は強みになります。
- 炎上気味の現場を整理した
- 関係者間の認識ズレを減らした
- 課題の優先順位を明確にした
- 会議体を見直した
- ベンダーとの役割分担を整理した
- 顧客向け報告の質を改善した
- 遅延していた工程を立て直した
これらは、単なる作業ではなく、現場を前に進めた経験です。
職務経歴書では、このような経験を具体的に書くことで、PMとしての価値が伝わりやすくなります。
もちろん嘘はいけませんよ?
職務経歴書の次に待っているのは面談ですので、しっかりと自分の言葉になるまで落とし込んでおきましょう。
数字が書けない場合は、変化を書く
職務経歴書では、できれば数字で成果を書けると強いです。
たとえば、以下のような形です。
- 遅延期間を2週間短縮
- 未対応課題を30件から10件に削減
- 会議時間を週5時間削減
- リリース遅延を回避
- 対象部門300名のシステム移行を完了
ただ、PMやPMOの仕事では、必ずしも分かりやすい数字が残るとは限りません。
その場合は、変化を書けばよいと思います。
- 課題の所在が明確になった
- 判断待ち事項が可視化された
- 関係者間の認識ズレが減った
- 会議で決定事項が残るようになった
- 報告内容が整理され、上位層の判断が早くなった
- 役割分担が明確になり、対応漏れが減った
数字がなくても、何が変わったのかを書けば、経験の中身は伝わります。
PM経験は「管理しました」だけでは伝わらない
PMの仕事は、外から見ると管理業務に見えやすいです。
進捗を見る。
課題を見る。
会議を開く。
資料を作る。
報告する。
ただ、実際にはそれだけではありません。
状況を見て、論点を整理する。
関係者の認識を合わせる。
優先順位を決める。
リスクを早めに拾う。
判断が必要なことを上げる。
人や組織の間にあるズレを調整する。
こうした動きができるかどうかで、PMとしての価値は変わります。
だからこそ、職務経歴書では「管理しました」で終わらせず、具体的にどう現場を動かしたのかを書く必要があります。
まとめ
PMの職務経歴書で大事なのは、担当作業を並べることではありません。
進捗管理をしました。
課題管理をしました。
会議運営をしました。
これだけでは、PMとしての経験は伝わりにくいです。
大事なのは、どんな状況を、どう整理し、どう前に進めたのか。
そして、その経験が別の現場でも再現できそうかです。
PM経験は、作業一覧ではなく、成果と再現性で見せる。
40代以降のPM・PMO経験者ほど、この視点が大事になると思います。
