
こんにちは。出戻りランサーです。
今回は、PMOの調整力はどう鍛えられるのかについて書いてみます。
PMOの仕事をしていると、よく必要だと言われるのが「調整力」です。
たしかにその通りです。
PMOは、いろいろな立場の人の間に入りながら、話を通し、認識をそろえ、プロジェクトを前に進める役割を持っています。
なので、調整力が大事なのは間違いありません。
ただ、この“調整力”という言葉、かなり便利な反面、少し雑でもあると思っています。
- あの人は調整力がある
- 自分は調整が苦手
- PMOには調整力が必要
こういう言い方はよくされます。
でも、その中身があまり言語化されないことも多い。
そのせいで、調整力がなんとなく
センスの問題
みたいに扱われやすい気がします。
でも個人的には、PMOの調整力は完全にセンスだけではなく、
ある程度は鍛えられる力
だと思っています。
今回は、PMOに必要な調整力とは何か、そしてそれをどう鍛えられるのかを、自分なりに整理してみます。
そもそも、PMOの調整力とは何か
まず前提として、PMOの調整力は、単に「人当たりがいい」とか「会話がうまい」という話ではないと思っています。
本当に必要なのは、もっと実務的な力です。
たとえば、
- 誰と誰の認識がずれているかに気づく
- 何が論点なのか整理する
- 相手ごとに伝え方を変える
- 曖昧なまま流れそうなことを止める
- 角を立てすぎずに必要な確認をする
- 会議を行動につなげる
こういうものです。
つまりPMOの調整力とは、
人の間に立って、話を通る形に整える力
だと思っています。
ここを単なる“コミュ力”で片付けると、たぶん本質からずれてしまいます。
そもそもの根幹である文脈や空気を読むことは簡単なようで誰にでもできることではありません。
調整力がある人は、最初から話がうまいわけではない
現場で調整がうまい人を見ると、つい
「もともと得意なんだろうな」
と思いがちです。
でも実際には、そうとも限りません。
むしろ、調整がうまい人ほど、
- どこがズレているか
- 何を確認すべきか
- 誰にどう話すべきか
- この場では何を決めるべきか
みたいなことを、かなり細かく見ています。
つまり、自然にやっているようでいて、実はかなり考えているんですよね。
ここが大事だと思っています。
調整力って、ただその場でうまく話す力ではなく、
場を見る力
や
論点を整理する力
に支えられていることが多い。
そう考えると、鍛えられる余地は十分にあります。
鍛え方1:まず“何がズレているか”を見る癖をつける
調整力を鍛えるうえで、最初にかなり大事なのはこれです。
話の内容より、ズレを探す。
会議でも日常のやり取りでも、うまくいかなくなる時って、たいていどこかがずれています。
- 目的のズレ
- 優先順位のズレ
- 言葉の定義のズレ
- スケジュール感のズレ
- 責任範囲のズレ
このズレに早く気づけるほど、調整はしやすくなります。
逆に、ズレに気づかないまま
「話し合えば何とかなる」
で進むと、だいたい後でしんどくなります。
なので、まずは
この人たちは何が食い違っているんだろう
と見る癖をつけるだけでも、かなり変わります。
これは才能というよりも、意識の置き方で左右されます。
鍛え方2:相手の“立場”で話を聞く
PMOの調整で難しいのは、同じ話でも立場によって見え方が違うことです。
たとえば、
- 開発側は工数や実現性を気にしている
- 業務側は使い勝手や期限を気にしている
- PMは全体進行とリスクを見ている
- 管理職は説明責任や影響範囲を気にしている
こういう違いがあります。
調整がうまい人は、相手の発言を言葉通りに受け取るだけでなく、
その人が何を守ろうとしているのか
を見ています。
これができると、伝え方も変わります。
なので調整力を鍛えたいなら、
発言そのものより
その人の立場・背景・困りごと
を意識して聞く練習がかなり大事です。
これは会議でもメールでも、普段のちょっとしたやり取りでも鍛えられます。
鍛え方3:曖昧な言葉をそのままにしない
調整が難しくなる原因の多くは、曖昧さです。
- なるべく早めに
- 一旦確認します
- 影響は少ないです
- 後ほど対応します
- だいたい大丈夫です
こういう言葉が出た時に、そのまま流すか、少し具体化するかで、その後の進み方がかなり変わります。
たとえば、
- 具体的にはいつまでですか
- 誰が確認する前提ですか
- 影響が少ないというのは、どの範囲の話ですか
- この場では何が決まった理解でよいですか
といった聞き方です。
ポイントは、責めるように聞くのではなく、
後で困らないように整理するために聞く
ことです。
調整力って、こういう小さな確認の積み重ねでも鍛えられると思っています。
鍛え方4:結論より“論点”を整理する練習をする
調整が苦手な人ほど、すぐに結論を出そうとしがちな気がします。
でも現場で本当に必要なのは、最初から正解を出すことより、
何が論点なのかを揃えること
です。
たとえば揉めているように見えても、実は
- スケジュールの話
- 責任分界の話
- 優先順位の話
- 品質基準の話
が混ざっているだけ、ということがあります。
こういう時に、
「いま揉めているように見えますが、論点は2つあります」
と整理できる人は強いです。
なので調整力を鍛えたいなら、日頃から
この話の論点は何個あるか
を考える癖をつけるとかなり良いです。
これは会議の時だけでなく、人の相談を聞く時なんかも練習になります。
鍛え方5:議事録を“発言記録”ではなく“整理メモ”として書く
意外とおすすめなのがこれです。
議事録をただの記録として書くのではなく、
論点整理の練習の場
として使う。
たとえば議事録を書く時に、
- この会議で何が決まったのか
- 何が未決なのか
- 誰が何を持ち帰ったのか
- 次回までの宿題は何か
を意識してまとめるようにすると、かなり鍛えられます。
逆に、発言順に並べるだけの議事録だと、あまり調整力は育ちません。
議事録って地味ですが、
会議をどう見ていたかがそのまま出る
ので、自分の調整力を鍛えるにはかなり良い教材だと思います。
鍛え方6:“誰にどう伝えるか”を意識して書く
調整力は、話す時だけではなく、書く時にも鍛えられます。
たとえば同じ内容でも、
- 現場メンバー向け
- PM向け
- 管理職向け
- 顧客向け
では、伝え方を変える必要があります。
ここを意識して文章を書くと、かなり鍛えられます。
たとえば、
- 現場には具体的な作業影響を
- PMには判断材料を
- 管理職には論点とリスクを
という感じです。
調整力が高い人は、この“相手ごとの再編集”が自然にできています。
逆にここが苦手だと、伝わらないし、話も通りにくい。
なのでメールでもチャットでも資料でも、
これは誰が読む前提で書いているか
を意識するだけで、調整力の土台は育ちやすいです。
鍛え方7:うまくいかなかった場面を振り返る
調整力が育ちにくい理由の一つは、経験がそのまま経験で終わりやすいことです。
会議がうまくいかなかった。
話が通らなかった。
相手が納得しなかった。
こういう時に、
「難しかった」で終わると、次につながりません。
でも、
- どこでズレたのか
- 何を確認しなかったのか
- 誰の立場を見落としていたのか
- どの言い方がまずかったのか
- 何を先に整理すべきだったのか
を少しでも振り返ると、かなり次に活きてきます。
調整力って、成功体験だけで伸びるものではなくて、
失敗をいかに消化できるか
もかなり大きい気がしています。
鍛え方8:最初から全部うまくやろうとしない
これも大事です。
調整力って、かなり複合的な力なので、最初から全部やろうとするとしんどいです。
- 相手の立場を見る
- 論点を整理する
- 曖昧さを確認する
- 場の空気を壊さない
- 次の行動につなげる
これを全部一気に完璧にやるのは難しい。
だから最初は、どこか一つでいいと思います。
たとえば、
- 今日は曖昧な言葉を1つ拾う
- 今回の会議では論点を1回整理してみる
- このメールでは相手に合わせて言い方を変えてみる
そんな感じでも十分です。
調整力は、一気に身につくものではなく、
小さい意識の積み重ねで少しずつ育つ力
だと思います。
結局、調整力は“人を見る力”と“言葉を整える力”でできている
いろいろ書いてきましたが、自分の中ではかなりシンプルです。
PMOの調整力は、
- 人を見る力
- 論点を見る力
- 言葉を整える力
- 話を次につなげる力
このあたりでできていると思っています。
つまり、ただ社交的だから強いわけではないし、話し上手だから強いわけでもない。
人と状況を見て、言葉と流れを整える力。
それが調整力なんだと思います。
そしてこれは、完全にセンスだけで決まるものではなく、
日々の現場の中である程度鍛えられるものでもあります。
最後に
PMOに必要な調整力は、とても大事です。
でもその一方で、雑に「コミュ力」と片付けられやすい気もしています。
実際には、
- ズレを見る
- 立場を読む
- 曖昧さを減らす
- 論点を整理する
- 次の行動につなげる
といった、かなり実務に則した能力です。
だからこそ、意識して鍛えることに意味があるんだと思います。
調整力は、もともとの性格だけで決まるものではありません。
少なくとも自分は、そう思っています。